11月になると、‘山開き’といって一般の人でも山に入ってマッタケを採ってもいいことになります。
各区地域によって、年によって(遅くから出始める年は開くのも遅かった。)日は違うのですが、
昔は11月初旬が多かったのです.

僕らの区では、近年11月中旬の
猟期に入る前の12,3日頃には開けるようです。
11月に入ればとか遅いときは22.3日という地域もあります。

マッタケ山のない人への
秋の味覚のおすそ分けの意味あいもあり、
山のある人は山開き後は採りに行きませんでした。僕もそうでした。

20年ほど前からは収穫量も減り、区民で山へ行く人が少なくなったので、
山が開いたあと
1日置いてから行くようになりました。

自山でなくコバも何もわからないところで、有るか無いかわからない時期にマッタケを探す、
それがまた面白くなったんです。
その地域の友人に山開きの
日を確認します。これだけは注意しなければ恥をかいてしまうので・・・

遠く離れた地域ではそこがマッタケ山なのかどうかもわかりません。アカ松があるからマッタケ山とは限りません。
なぜか雰囲気でわかるんです。
マッタケが呼んでいるんです。このまま腐るよりマッタケ大好きな人に採ってもらおうと・・・


昔はよく木を切って30年になるし、松(自然生え)も大きくなったからもう出るやろう」とか
「クロカワ出だしたからもう出るで」とか言っていましたが、
ここ40年僕んちの山も出ませんし、新しく出だしたという話もあまり聞きません。出なくなる山が増えていく一方です。

微妙な何かがあるんやね!
松くい虫、温暖化、有害獣のためだけでなく、、地球自体の周期の中でマッタケ
衰退期に入ってる?、

すさんだ人の心を知ってマッタケが出るのをひかえてる? そうそんな気がします。

このマッタケを入院中の父親に見せようと、
籠のウラジロの蓋を取った瞬間、静まり返った暗〜ぁい無菌の
夜の病室いっぱいに
ぼわぁ〜ぁんと広がっていくマッタケの香り!
「何やこれは・・・
これが丹波マッタケなんや」って感じました。
5歳からマッタケ採り30年目、今まで
一番感動したシーンです!

輸入、飲食、物作り、音楽、農業等
いろんなことやってますが、どれもプロだと思ってません。
しかし、これに関しては
プロと自認しているのが、マッタケ採りです。

マッタケの収穫期間は10月およそ一ヶ月です。早くでれば早く終わり、遅くでれば遅くまであるって感じです。
サマツっていって夏の終わりにひょこんとでるものもありますが・・・
11月29日、30日にマッタケ採ったことありました。12月に採れたら・・・って行ったけど無かったです。

King of Nature
マッタケ山あるのに・・・ってことで以前は山持ちはマッタケ山の入札はあまり行かなかったようです。父親もそうでした。
マッタケ好きの年配の方も少なくなって入札者も減ったので遊びにおいでっていうことで、20年前にはじめて行きました

地域(区)の管理する
と区、寺の管理するマッタケ山の入札が9月の第1日曜にあります。
お酒を飲みながらワイワイとです。
池、山の順序は毎年交互です。昔は山より高い池も結構あったそうです。
鯉の養殖が主ですが、最近は釣堀にしていらっしゃる方もいるようです。

まず各一件ごとに入札します。 お盆に各自が希望金額を書いた紙を入れていきます。
司会者から「増し引きございませんか?」って聞かれると、
入札者の顔色を伺いながら「5000円増し」とか「1万引き」とか・・・それで各自の入札額が確定します。
そこで手を上げて「
テッポウ」って言って金額をいれます。
同額の場合テッポウは負けるそうです。この
やりとり、駆け引きがまた面白いんです

当時、高い山で130万、安い山で2,3万(最近は50万までのようです)・・・区民しか入札できないのですが、 
高い金額の山はたいてい近くの温泉旅館の
マッタケ狩り用に‘また貸し?’されます。

これはこれで旅館との駆け引きもあって・・・
お酒を飲みながらワイワイガヤガヤでも金儲けもからんで真剣に!

僕もお遊びで2万5000円で一つ落札! 「ここ4年出てないでぇ」とのこと。 
「ほんまかいな〜出ない山入札掛ける?」って思っていたら案の定クロカワ5枚
(クロカワは軸に虫が入ったりしてカサだけたべることが多いので
1枚2枚と数えます

地域によっては個人山も入札の対象というところもあるそうです。
このあたりではないのですが、昔
1000万の山があったそうです。勿論山は広く採り子が10人くらいいたそうです。
1ヶ月借り受けて・・・すごい時代やったんやねぇ。

土日が仕事なので残念ながらそれ以降入札には行けませんが、あの
不確定要素いっぱいの中での勝負も面白いです。

最近はマッタケの値段ずいぶん安くなりました。
去年知り合いのマッタケ屋さんが近所の朝市で売っておられたのが
キロ5万(100gのコロ1本5000円)やったと思います。
秋は
なにがなんでもマッタケではなくなり、マッタケの感覚が信州や東北のようになってしまったのと
丹波産がほとんど採れなくなり、一般の人の口に入らなくなり、
スーパーで見かけるのは
外国産ばかりになって、それが普通になったためでしょう。

よく
外国産と国内産って言いますが、20年くらい前までは丹波産とそれ以外って分け方でした。
30年くらい前丹波産は
贈答品売り場、広島、岡山は食料品売り場って感じでした。

友人の料理人が京都中央市場の帰りに寄ってくれて、相場の8賭けくらいで買ってくれていました。

丹波産が不作の時は足りなくて広島、岡山を買っていました。凶作でマッタケご飯にカナダ産
(勿論お客さんの了解を得てですが・・)さすがにモロッコ産は使いようがなかったとのことでした。

丹波が不作の時は京都の料亭等が丹波産だけでまかないきれないため広島、岡山が丹波の
9掛けの値段に、
豊作の時は
7掛けって感じでした。料理人の滋賀店で使ってる地元マッタケは5掛けでした。

僕も高い時でキロ
10万以上で引き取ってもらっていました。出始めの時期はキロ20万なんてことも・・・


他産地のマッタケ何度か見ましたが、広島産は丹波より
白っぽいですが大きく立派ですし、岡山産も立派ですが、
箱の底にウラジロではなくて、
檜の葉が敷き詰めてありました。うぅ〜ぅんやっぱり香りは丹波です!

40年くらい前、東京の高級料亭から新幹線に乗って地元の農協や仲買人宅へ買い付けにってこともありました。

マッタケは採る時期が大事なんです。そのマッタケの最大限を引き出すんです。
早く採れば目方を持ちませんし、コロで採るかヒラキで採るか、
採り時を過ぎて置いておくと
雨が降れば腐るし、晴れてて乾燥すれば虫がはいります。
買ってもらってた料理人の友人が「市場で買うやつとちがって、自分とこのマッタケは虫一つもあらへん」・・・これも自慢です!

単なる自慢ですが・・・ほんとうの話です。

 上から見下ろして
10m下のマッタケを見つけたことあります。

 5mくらいの間に7,8本マッタケ列をなしてあって、そこから3mの延長線のあたりに
 人差し指と中指を入れると
ヌルッ! あっマッタケや!

 友人を、山開き後の山に連れていった時、友人がレジ袋を落としたのを見て呼び止めたんです。
 友人がレジ袋を取りに戻るとその下にマッタケが!
神がかり・・・?

これらが土の中から採れるマッタケです。
石を避け、根っこを回避し、
それでも地上に出て光を見ることができなかったマッタケです。
地面に根がいっぱい張っていて、
上から踏んでもどうもない
そんなところにもマッタケはあるんです。

このようなマッタケを
勘と今までの経験のみで探し当てる快感!
見栄えせず値段も安いこのようなマッタケが愛おしくてたまりません。

マッタケ好きというのは「マッタケ」って言葉を言うだけで顔がにっこ〜っとしてきます。
僕なんかキーボードでマッタケって打つだけでほころんでいる顔がわかります。
9月になると「今年のマッタケどうやろなぁ〜」ってはじまり、10月本番、
11月になると「山が開くのなんの」12月になっても「今年のマッタケはどうやったこうやった」
うだうだ言いながら正月を迎えます。マッタケ好きは
一年の4分の1はマッタケの話です。


もう亡くなられてずいぶんたちますが、究極はあの
‘これどマッタケ’のおっさんです。
腹巻に金を入れて、マッタケの山に囲まれ、
クロカワを七輪で焼き酒をちびちび飲みながらマッタケをいらう!(仕分ける)
 うぅ〜〜ぅん もぅ〜たまらんねぇ・・・!!!  はぁ〜ふぅ〜はぁあ 終わってしまったね。。。

荒廃した山

緑のない山の中

松枯れした松

このヒラキも土の中からです。

腐りかけですが、どうにか
地上へ出ようとする根性はすごい!

モクセンの花が咲き霧が出る頃、山に入りマッタケを採りながら頂上へ、
ダイブツの実で唇を紫色にして、見下ろす雲海は何物にも変えられない至福のときです。

山開き後に採ったマッタケ1キロ300g 惜しげもなく焼きマッタケに・・・良き時代でした。

480gのマッタケ見えている部分は5cm四方でした。

保育園に入る前から父親についてマッタケ採りに行っているんですが、
小さい頃は山に着くと走って行って「あるで〜」って自慢げに・・・
勿論当時はマッタケも多く、コバなんであって当然なんですが・・・かわいいもんでした。

その頃はマッタケも多かったし山もきれいだったんですが、父親が土の中から採っている記憶はないんです。
地上に出ていなくて
かすかに膨れているマッタケとか、
地中で腐って地面に
白い胞子がでていて、掘ってみるとマッタケっていうのはあるんですが・・・

昔大きい籠の倍くらいのを使っていました

ここ20年一番小さいので十分です。

マッタケ ホンシメジ クロカワ
KING
ホンシメジ

僕の住んでいるところは、今は丹波マッタケの南限になりますが、
大学の頃このあたりで
‘これどマッタケ’というマッタケや(仲買)のおっさんが
「わしのあと継がへんか?」といわはったくらい僕はマッタケ好きでした。

大きくなるコロ

開くコロ

ビッグ3(マッタケ、ホンシメジ、クロカワ)以外に持って帰るきのこ
  
おばはんマッタケ(マッタケに似てるが炊いたら黒くなる) 
  
イクチシラタケ(これらは干して佃煮) ねずみ茸(おつゆに入れる)

またこの山は泥棒もちょくちょく、マッタケ泥棒との戦い、鹿等動物との戦い・・・
現場を見れば、親戚の方が採られたのか、泥棒が採ったのか、動物が取ったのか
プロを自認する僕にはわかるんです。

ナメクジはカサのヒダをなめて値段を下げ、鳥はつついてバラバラにし売れなくし、鹿かパックリいっても土中の軸だけ残し、
人は全て持って行き、プロの泥棒は跡形も残さない!

マッタケ生えている場所、状態、その日の天候、その後の天候、何日後に来れるか等々
不確定要素いっぱいの中で採るか残すか?、
採ってきたマッタケをどこに売るか?、どの時期のマッタケを贈答にするか?出始めを喜ぶ人もあれば本数が多いほうが良い人もいる・・・
すべてが勝負なんです。それが面白いんです!

480gのマッタケ

マッタケの大きさは最近では120gもあれば上コロです。昔は200gのコロとか300gのヒラキとかありました。
僕んちでは
480gのヒラキが最高です。知り合いのマッタケ屋さんところでは700gってのがあったそうです。

マッタケって、結構、隣の持ち主との境近くに出るんです。
マッタケがでるから境になったのか、マッタケが人間を試しているのかわかりませんが・・・

マッタケ籠

クロカワ

古着屋をやってる時、オレゴン州からマッタケを輸入しようと言う話がありました。
マッタケといっても
カナダ産のように白くマッタケというよりマッシュルームなんですが、味はそれなりでした。
そして知り合いのマッタケ屋(仲買人)から
大阪中央市場の方を紹介してもらい、
そこから輸入部門の
偉いさんと話すことができました。
すると、何百キロでもさばけるけど、マッタケ良くわかっているものが、

現地で
良いものだけを選別して送らなければあかんということでした。
当時古着全盛で忙しいのと、当時人気のNIKEでもアメリカ人の感覚で送ってくれるものは
ろくなもんないってことがわかっていたので、残念しました。 
どてらい金儲け!

1週間大きな大きな夢
を見せていただきました。

これ以外はただのきのこマッシュルームにすぎません!

マツタケではない関西ではマッタケなんです。
信州や東北のように
きのこの中の松茸(マツタケ)ではないんです。
きのこイコールマッタケ(松茸)なんです。 だから、きのこ狩りとは言わないんです。マッタケ狩りなんです。

20年くらい前までは、マッタケの産地といえば京都(丹波)、広島、岡山あたりでしたが、
最近は長野、岩手とかの生産量が多いようです。

丹波マッタケの急激な減少の原因は
温暖化的要素もありますが、決定的なのは松くい虫による松枯れです。
そして
有害獣(シカ)の爆発的増加も一因です。
一見緑に見える山も中へ入れば、無茶苦茶
荒廃しています。地面から2mの高さまでの緑は全くありません。
しかが新芽を食べるんです。

だから植林してもだめなんです。一本の苗木を植林したら5mくらいの柵で囲まなければ木は育ちません。
しかは以前の
3倍以上は増えています。
昔からしかは‘すけべ’って言いますが・・・これも温暖化で発情期が増えたとか聞きました。

僕んちには親戚の方との共有のマッタケ山があるんですが、この山ではどちらが採るかが勝負なんです。
自分だけのコバはひたすら見つからないように、相手も知っているであろうコバでは少し小さい目でも採りますが、
小さいものは
採らずに隠し今度来るときまで残っているよう祈ります! 小さいものを採っても目方はないし、
持って帰っておつゆに浮かべるより確率は悪いですが、大きくなったのを一本でもとるほうが、良いと思って
残します

指入れて土の中で見つけたマッタケ深さこれぐらいやったら今度来る時まだ地上にでてないから大丈夫!って感じ。
ジクが太く
エンタシスになっていてカサが小さいコロはまだまだ大きくなりますが、
ジクよりカサが大ききくジクがすらっと長いコロは残しておいても開くだけですが目方は増えます。

マッタケは‘慌て’は嫌いなんです。愛情をもってじっくりと接してくれる人がすきなんです。
マッタケを見つけたら、足場を確認しながら(他に生えているマッタケを踏まないよう)近づき、
周りを確認して、他になければそのマッタケに対し心の中で、「今年も出てきてくれてありがとう」って思いながら、
根元を持って
ゆっくりゆっくりぐらぐら揺らしながら、根の深いものは指を差し込んで起すように
(昔は竹べらで採っている人もいました)、イシズキを傷つけないよう
神経集中して採るんです。 
イシズキ近くを持って(他は触らない!これはマッタケ扱うときの基本!でも最近の農協等仲買は・・・)
カサの松葉を
やさしくとって、軸についた土を口でフーフーして取って、白い部分が黒くならないように、
コロやチュウツボもそうですが特にヒラキの場合は注意しながらマッタケ籠に入れます。
底にウラジロを敷いた籠に入れるときはマッタケの
白い部分が見えないようにカサが上を向かないよう
水平になるよう入れていきウラジロで蓋をします。
マッタケを採ったら穴を丁寧に「来年も出てきてお願いね」って心で思いながらふさいで
何もなかった状態にします。
(そのままにしておくとコバを教えているようなもの、プロにはわかるんです。愛するマッタケにも失礼なこと!) 

他にもマッタケがあるときは、そのマッタケが次来る時どれぐらいの大きさになっているか、
道や境に近い所なのかそれとも山の中のほうなのか、雨が降りそうなのか、
勿論動物のことも考えたうえで採るか残すか決めます。 見たマッタケは大きくならんといいますが・・・ 
残す場合、わからんようにわからんように丁寧に
自然な状態になるよう隠します。 

一本見つかればその場に数分います。他にないか見て、手で押さえて、指を差し込んで・・・なければ
もう一度回りを見渡して、ゆっくり足跡等のこさずその場を離れます。 
山を歩いている時も決して足でかいたりせず、周りの木を持ったりしながら跡を残さないよう
ほわぁ〜んと歩き、
目はしっかりと‘マッタケ、マッタケ’と
ギラギラしながら探します。

他県でマッタケの増殖をしていると言う人がテレビに出ていて、
ラストのシーンでマッタケを採ったらイシズキがぽろっと折れて・・・
いくらTVで緊張してるとはいえ、プロではありえないことです!・

マッタケって恥ずかしがりなんです。できるだけマッタケを好きで好きでたまらん人に採ってもらおうと、
人を試すかのようにわからんようにわからんように隠れてでてくるんです。
マッタケに対する
愛情度(関心度)を試しているんです。
ウラジロが茂って、人が入らないいところにはマッタケは無いんです!探しにくいウラジロのそばにはあるんです。
マッタケは基本的に
下から上を見上げて探すんですが、見やすい山ならいいんですが、なかなかそうはいきません。
ウラジロの影になっていたり、ほんの少しふくらんだ松葉の下にあったり、はたまた土の中にあったりで・・・、
ただ単にむやみやたらに探す人、下から見上げて探す人、ウラジロとかを手で除けて探す人、
松葉で覆われた地面を押さえて探す人、そして土の中に指を差し込んで探す人、
マッタケに対する愛情度が
深まれば深まるほどマッタケはこっちを向いてくれるんです。

マッタケやホンシメジ(スーパーで売っているのとは全く違う)は生きた木に寄生する
しいたけ等他のきのこは朽ちた木にも寄生する。だからマッタケとホンシメジは
養殖できないんです。

勿論マッタケは赤松に寄生し、背丈は低いひねた松ではきれいに
円を描いて生えることがありますが、
普通大きな円の一部なので
一直線に生えます。
ツツジとかシャシャ木とか他の雑木にも影響させられます。手入れ掃除をしなければという人がいますが、
僕はむやみにコバの周辺の木を切るのはどうかと思います。
ウラジロ(ホナガ)のそばに生えたり、何か
日よけになるものが必要なんです。
マッタケは山の斜面に生えていることが多いのですが、頂上なでフラットなところにも生えます。
しかしフラットな部分でも生えてるところは斜になっていて、ある程度
水はけが良い所を好むようです。

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